初来日の2003年9月、東京国際フォーラムAホールの
あと、横浜パシフィコでもジョアンはコンサートを
行い、もう一人のプロデューサーMさんが
ジョアンのスイートルームに呼ばれました。
「ジョアンからサプライズがあるらしい」という連絡が
あったのは、日本公演が終了した翌日のことでした。
ここからは世界が羨む「伝説のライブCD」となった
『ジョアン・ジルベルトin Tokyo』のCDブクレットから
そのままご紹介します。
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いつにもまして幸せそうな様子のジョアンと床に座り、
スピーカーを目の前にしてDATの鑑賞会が始まった。
変幻自在なアーティキュレーションとヴァイブレーション、
考え抜かれた繊細なコードワークとリズムの精妙さ、
息つかいまでもがリズムの一部となって溶け込んでしまう
ジョアン・ジルベルトだけのアート(芸術・技術)。
そして観衆の素晴らしい反応。
即興的に何度も繰り返される音楽は、繰り返される度に
体全体を包みこみ心に染み渡ってくる。
まさに音楽が生まれ出る瞬間を目にする歓び。
新しい発見と驚き。
スピーカーから流れる音楽に陶然と身をゆだねながらも、
なぜか緊張感が徐々に高まってきた。
1時間以上そうしていただろうか、突然ジョアンはテープを
止めて言った。
「僕はここに何か形而上的(メタフィジコと彼は言った)な
ものを感じている」
長い間があった。
「これをCDとして出したい。どう思う?」
一瞬、耳を疑った。「CDだけの発売は考えていない」
と言っていたのは当のジョアンだったからだ。
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こうして世界中が羨望したライブCDが東京から発売される
ことになりました。
もちろんそのコンサート会場の空気・雰囲気(アンビエンチ)
そして彼の演奏、歌唱そのものが特別なものだったには
違いないけれど、同時に彼はこのMS1001から流れてくる
歌を聞いて、
「初めて自分の声をスピーカーから聞いた」と
呟いたそうです。
彼はその後2004年、2006年と続けて来日。
すっかり日本贔屓になってしまったようです。
と言っても、ジョアンは日本滞在中、ホテルの
スイートルーム、コンサート会場、スイートルームと
往復するだけで、街歩きも、お買い物をせず、
ライブをし、真夜中のステーキを食べながら
DATでライブを反芻し、また翌日のライブに向う
という過ごし方。だから彼は日本贔屓というよりも
日本の観衆贔屓と言えるのかも知れません。
なにしろ23分間も沈黙し、ただただ観衆の
続ける拍手を聞き続けていたのですから。
ステージの上でギターを抱えたまま少しも動かず、
じっと止まってしまったジョアンを見て、誰もが
もしかして具合が悪くなってしまったのか、
それともすでに演奏の合間に亡くなってしまった
のかと思い始めてしまいました。
Мさんが舞台に上がって「大丈夫?」と声を
かけると、ジョアンはこう答えたそうです。
「ここにいる皆さんの拍手ひとつひとつに
耳を傾け、ありがとうを言っていたんだ」
ジョアン・ジルベルト、ありがとう。合掌。
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