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サファリ  2004年6月号 「 Catch the Wave !」
    

バーチャルな時代だからこそ生まれた!?
ナチュラルに響く”音”

録音スタジオにニーナ・シモンがひとりいる。ピアノの前に座り、音を奏でている。やがて、彼女はその荘厳な響きに合わせ、歌いだす。諭すように優しく、ときには心を奮わせるように力強く---。
ニーナ・シモンの昔日の想い出を語っているのではない。空想を話しているのでもない。いま、ここに現実として"聞かれている音の情景”を説明しているのである。まるで録音現場に立ち会っているかのように、CDプレーヤーから流れる音のひとつひとつが録音時の空気性を忠実に、ナチュラルに伝えている。
この現実を作り出しているのがMS1001。エムズ・システムが発表した波動スピーカーで、今年に入ってほぼ同じ性能を持ちながらも小型のMS0801も登場した。波動スピーカーはこれまでのスピーカーとコンセプトそのものがまったく異なる。それはスピーカーではなく、楽器と呼ぶにふさわしいものなのである。
端的に違いを証明しているのが数。ライトとレフと、2個でひとつだったこれまでのシステムに対し、波動スピーカーはたったひとつで音を奏でる。空間再現力は量子理論に秘密がある。リスニングポイントを持たないというのがひとつのヒントになるかもしれない。

これまでのスピーカーは目の錯覚ならぬ、耳の錯覚を応用した技術。左右2つのチャンネルを使ってバーチャルな音環境を作りだすためのシステムだった。そのため、出される音には必ず方向性があった。最も良く錯覚する場所こそ、リスニングポイント。波動スピーカーの場合、再現された空間はどこで聞いても変わらずに再現された場所にある。想像してみてほしい。ジャズクラブにいる自分を。客席を移動して、ひとつのライブ演奏を客席の中央最前列から、後方の右側から、あるいは左手から、さまざまな客席で聞いてみたときのことを。演奏者の位置関係は変わらないまま、音像は違ったものとなって、耳に届くはずだ。けれど、それぞれの楽器は、どこにいても埋没することなく、しっかりと耳に届く。波動スピーカーが生み出す音像はまさにそれなのである。
バーチャルな物にどこまでリアリティを持たせるか。現代社会はそうした流れのなかで築かれてきた。しかし、それと反比例するようにいま、叫ばれているのは本物を求める声。ナチュラルなものは身体に優しい。そして、気持ちをも優しくする。波動スピーカーはそんな現代に現れるべくして現れたプロダクトなのである。

紙と木から成る。通常のスピーカーと同様、左右のプラグとアンプを接続するだけ。サイズはMS0801が直径16センチ×40cmで、MS1001は直径21cm×40cm(12万6000円)。木製台が付属。置き場所も選ばない。

あらゆる音源をたったひとつでナチュラルに再現
筐体そのものが歌っている、そんな印象。ジャズ、クラシックから”川のせせらぎ”の音まで、音源を選ばず再現。波動スピーカーMS0801 9万8000円(エムズ・システム)
 http://www.mssystem.co.jp

     サファリ6月号 文=田代格 写真=島本一男 P069



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